マダニを媒介にした感染症は死亡率が高く非常に危険です。
先月、北海道で40代の男性がウイルスを持ったマダニに噛まれて脳炎を発症し、死亡していたことがわかりました。
マダニを媒介にした感染症にはいろいろな種類があります。
ここでは、マダニを媒介にした感染症の種類とその症状、検査方法、治療方法について紹介していきます。
マダニを媒介にした感染症の種類およびその症状とは?
マダニというのは、森林や山の中、草むらにいるダニで、動物や人の血を吸うダニです。
普通家の中にいる家ダニと違い、血を吸うと大きくなるのがマダニの特徴です。
家ダニってかなり小さくてほとんど見ることができませんが、マダニは血を吸うと1センチ以上になるので、見えるんですよね。
マダニって写真を見ると脚が8本あり、ダニというより、どちらかというと蜘蛛のような感じです。
口が蚊のような針状ではなくマダニはハサミみたいになっていて、この口と脚とで動物や人の体にしがみついて血を吸います。
それも、すぐに血を吸い終わるのではなく、マダニはのんびり10日間もかけて血を吸うというんですから、怖いですよね。
まず、マダニを媒介にした感染症の種類およびその症状についてまとめました。
【ダニ媒介性脳炎】
先月中旬、北海道の40代の男性が数か所の草やぶに入り、マダニに噛まれました。
男性は、噛まれたあとすぐに病院で治療を受けましたが、発熱や痙攣などの症状が治りませんでした。
男性は「ダニ媒介性脳炎」と診断されて入院しましたが今月13日に死亡しました。
【重症熱性血小板減少症候群(SFTS)】
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)はマダニを媒介にした感染症では国内で一番多く発症しています。
ウィルスを持ったマダニが媒介して感染する病気でその名の通り、熱が出て血小板が減少するというものです。
初期症状は発熱、倦怠感、腹痛、食欲低下、嘔吐など風邪とよく似ています。
症状が進んでいくと、痙攣、意識障害、出血などが起こって、最悪の場合死に至ります。
この3年間で195人が発症し、そのうち 48人が死亡しており、死亡率が非常に高い感染症です。
【日本紅斑熱】
症状は風疹に似ていて、発疹や発熱の症状が起こります。
毎年50~100人程度の感染が確認されており、今までに4件の死亡例があります。
今年の5月に静岡県沼津市の70代の女性が、日本紅斑熱により死亡しました。
【ライム病】
マダニが吸血を始めてから48時間以上が経つと感染リスクが高まるとされています。
傷口近くから赤い斑点が現れ、全身の倦怠感、寒気、頭痛、嘔吐、発熱、関節痛などの症状が現れます。
マダニを媒介にした感染症にかかったかどうか検査する方法は?
マダニのウィルスに感染しているかどうかは、血液検査をすることで分かります。
風邪かなと思っても症状が良くならなかったり、草むらや森林などに行ったりした場合には、マダニによる感染症の可能性があります。
症状だけで自分で判断するのではなく、必ず皮膚科などの専門医に診てもらい、血液検査をするようにしましょう。
もし、マダニに噛まれているのが明らかな場合は、自分で対処しようとせず、病院で処置を行うことをおすすめします。
マダニを媒介にした感染症の治療方法はあるの?
マダニを媒介にした感染症には、現在抗ウィルス剤やワクチンはまだ開発されておらず、それぞれの症状に応じた対症療法で治療を行います。
ヨーロッパやロシアではワクチンを使っているようですが、日本ではまだ認可されていません。
マダニによるウィルスに感染してもすぐに重症になるというわけではないようですが、できるだけ早く治療をすることが大切です。
重症熱性血小板減少症候群については、動物実験で効果がみられた抗インフルエンザ薬の「アビガン」を、この夏に発生する患者10人程度に投与して効果と安全性を調べる臨床実験を始めました。
マダニに噛まれた場合はすぐに引き抜けば、感染する確率は低くなりますが、自分で行うのはなかなか難しいです。
噛まれたら、すぐに病院に行きましょう。
まとめ
マダニを媒介にした感染症にかからないようにするためには、マダニに噛まれないよう予防することが重要です。
蚊に効果があるとされている虫よけスプレーには、マダニが嫌うディートやイカリジンという成分が含まれており、マダニ予防にも効果があります。
今年9月に含有量の上限が引き上げられ、認可後、ディートは12%から30%まで、イカリジンは5%から15%まで可能となります。
あとは山が近い草むらなどで作業する場合は、特殊加工の防虫用衣類や長袖、長ズボンで肌を露出しない、または首にタオル、手に軍手をするとある程度の予防にはなります。